ほどほどなるままに

司馬遼太郎

文=daily|2018年03月18日

大学時代によく読んでいた司馬遼太郎を久しぶりに手にとった。「人間の生存の基礎である土地が投機の対象にされるという奇現象がおこった。大地についての不安は、結局は人間をして自分が属する社会に安んじて身を託してゆけないという基本的な不安につながり、私どもの精神の重要な部分を荒廃させた」。先祖伝来の土地を投機の対象にし、金儲けのために美しい自然を破壊するとは何事かと、司馬はバブル経済に浮かれていた日本人を喝破した。その18年後、経済成長のための必要悪とされた原発が暴走し、東北の土地は汚され、人々は土地を失った。「日本人の7割か8割が合意できることがある。日本の自然をこれ以上壊さないことである。そうすればこの国に明日はある」。司馬の日本人への遺言とは程遠い震災復興の光景が、三陸に広がっている。

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