レポート

特集生産者は元読者 − “観客席”から“グラウンド”に降りる / 編集長:高橋博之

東北食べる通信の読者や車座座談会の参加者から時折、「地方に移住しました」「新規就農しました」と連絡をもらうことがあります。“観客席”から“グラウンド”に降りる人が少しずつ出てきているのはうれしいことです。

高橋博之(東北食べる通信編集長)文=高橋博之(東北食べる通信編集長)写真=玉利康延|2017年07月06日 福島県会津若松市

東北食べる通信をやってきて、一番うれしい出来事

東北食べる通信を創刊して丸4年経ちました。お陰様で48号を世に送り出すことができました。書いた特集記事は、およそ4万字。原稿用紙にして1000枚分。東北の海と土を舞台に生きる農家や漁師の物語をこれだけ伝えることができて、本当によかったと思います。

この4年間、東北食べる通信をやってきてたくさんうれしい出来事がありましたが、昨日、これまでで一番うれしい出来事がありました。2年前に会津に嫁ターンし、就農した東北食べる通信元読者の大友佑樹くんを次号で特集するために取材してきたんです。大友くんは東北食べる通信で紹介してきた農家たちの世界観に惹かれたこともあって、農家になることを決意。脱サラしてトマト農家になったわけですが、その彼を今度は東北食べる通信の誌面で特集できるなんて、こんなにうれしいことはありません。

サラリーマン時代より、毎日が新しい

サラリーマン時代と何が変わったのか。彼はまっくろに日焼けした顔で言いました。「前は同じことを毎日繰り返しているだけだった。今は1日1日が違う。今日本当に元気だったトマトが次の日になったら病気になってる。なんで?そういうことがざらにある。毎日が目まぐるしく変わる。あと、前は上司に給料決められていたけど、今は自分で商品に値段つけてるから自分で給料決められるようになった」。

生きるということは日々新しいものと出会うこと。長い都市生活の中でそんな当たり前のことから遠ざかっていた大友くんは今、生きる実感に満ち溢れていました。

彼のように就農までいかずとも、東北食べる通信で生き方や価値観が変わったという読者は少なくありません。農家や漁師の生き様には、都市住民の心を揺さぶる何かが間違いなくあります。誰かに決められた人生を歩かされるのではなく、自分で決めた人生を歩きたい。そんなふうに思ってくすぶっている方は、東北食べる通信おススメです。購読してたら、どこかでスイッチが入ると思います。

高橋博之(東北食べる通信編集長)

高橋博之(東北食べる通信編集長)

岩手県議を辞め、マンモス防潮堤に反対し、知事選に出馬。前代未聞の選挙戦で落選し、政界引退。事業計画も書けないのに事業家に転身。NPO東北開墾を立ち上げ、東北食べる通信を創刊する。 http://kaikon.jp