レポート

一面に咲く桃の花 − 7月号特集生産者を訪ねて

皇室献上桃の郷、福島県伊達郡桑折町(こおりまち)。この町は4月半ばになると一気に桃色に染まります。満開の桃と、7月号で特集する若き桃農家・羽根田幸将さんを訪ねました。

山下雄登文=山下雄登写真=山下雄登|2018年04月27日 福島県伊達郡桑折町

4月12日、最高気温21度。車の窓全開で向かった福島県伊達郡桑折町(こおりまち)。町に入ると、すぐに目を奪ったのがあたり一面に咲く桃の花でした。

今年の7月号で特集する桃農家・羽根田幸将さん(28歳)から「もうそろそろ桃の花が咲きますよ」と連絡をもらったのがつい1週間ほど前のこと。誌面に載せるために、桃の花の写真、そして授粉作業の様子を絶対に収めなければと思い、駆けつけました。

桃の花は種類にもよりますが、白から徐々にピンクに色づいていき、そのグラデーションがとても美しいです。よく観察すると、花の中心から凛と突き出た雌しべや、その周りを囲む雄しべも、花弁の移ろいに合わせて、白からピンクへと色を変えていく様が見られます。

雄しべの先にある黄色い丸っこいのは、「葯(やく)」といいます。ここから花粉が放出され、雌しべの柱頭につくことで受粉するのです。受粉すると、やがて雌しべの子房(しぼう)が発達し、数ヶ月後にはたわわな果実を実らせます。

この受粉を自分でできない品種や、受粉率の低い品種たちもいます。そういった桃の木たちにもちゃんと実をつけてもらうために行うのが人工授粉です。

人工授粉ってどこか機械的な印象のある言葉ですが、簡単に言えば、人の手で花粉を柱頭につけてあげること。

羽根田さんは、ピンク色した「石松子(せきしょうし)」と呼ばれる天然の植物の胞子を、桃の花粉に混ぜます。花粉は少量しか採れないのでなるべく均一に授粉させるべく、この石松子を使って花粉を希釈するのです。

それを毛ばたきにつけて、ポンポンと優しく桃の花をタッチしていきます。これを2〜3回繰り返して、授粉作業の完了です。

羽根田さんと一緒に働く、南さんも笑顔で授粉作業。

次に取材陣が現地へ行く頃には、きっとまんまるな桃の実が迎えてくれることでしょう。

山下雄登

山下雄登

大学卒業後、すぐに岩手県に移住し、東北食べる通信の乗組員となる。一眼レフとドローンを常に持ち歩いている。別名「船上カメラマン」。