レポート

生きたままアンコウが揚がる村 − 真冬の生産者開拓レポート

東北食べる通信で、将来特集する生産者を見つける旅のことを「生産者開拓」と呼んでいます。生産者開拓のために真冬の東北を走り回る日々。今回は超高級魚“アンコウ”の漁師を訪ねて青森県風間浦村まで行って来ました。本州最北端村のアンコウは海底の地形のために特別なのです。

成影沙紀文=成影沙紀写真=成影沙紀|2018年02月04日 青森県風間浦村

ニンニク→ヒツジ→アンコウ

青森といえばにんにく。田子のにんにく農家さんに紹介してもらったのが階上の羊農家さん。羊農家さんに紹介してもらったのがアンコウ漁師さん。2月4日、「アンコウ祭り」なるものが開催されると聞き、アンコウ漁師さんに会うのとタイミングを合わせて、青森県風間浦村に行ってきました。風間浦村は下北半島のさきっちょにある、本州最北の村。東北開墾の事務所がある岩手県花巻市からは294km、車で約5時間。

食べる人とつながる風間浦村の漁師

風間浦村のアンコウ漁師・木村さん(37)は小学生の時から船に乗り、仕事を手伝いよくお小遣いをもらっていた、と言う。漁師歴は30年といったところか。海の仕事はキツくて跡継ぎがいない、という暗いムードは全くなく、自分も漁師になることを疑わなかったと語った。夏は天然昆布やウニを、秋にはサメを、冬にはアンコウを獲るオールラウンダーだ。さらには最近東京にアンコウを連れていって(送るのではなく、文字通り“連れて行く!”)、食べる人の目の前で捌いて一緒に食べるというイベントも精力的にこなす。このように消費者と直接つながる漁師はまだまだ少ないように感じるが、「20,30年後はこれが当たり前になってると思うよ」と笑う。

生で食べられるんです

風間浦のアンコウは特別だ。生で食べることができる。その秘密は海底の地形にある。アンコウは水深30m以上の比較的深いところに生息しており、見た目によらずデリケートなので、水揚げから時間がかかるとすぐに死んでしまう。実際、生きているアンコウを見ることができるのは茨城県大洗町の水族館と、風間浦のアンコウ祭りだけだという。ここでは出港して5分で水深が70m程になるので、アンコウを生きたまま漁港に連れ帰ることができる。アンコウ祭りではアンコウ寿司も振る舞われた(3巻で500円!)。さらに品質を高く保つための手間が“胃洗浄”だ。アンコウが青魚等を食べるとその匂いが胃袋や身につくため、水揚げするとすぐにパンパンに水を飲ませて、ビューっと腹を抑えて胃の内容物を吐き出させる。木下さんの話を聞きながら、想像してしまい自分の胃がキューっと縮み上がった。

時化とタコとの戦い

そんなアンコウ漁、11月から6月ごろまで行うそうだが、一番の旬と言われているこの時期は時化でなかなか漁に出られない。最近は平均的には1週間に1回。ひどい時には1ヶ月に2回しか出漁できない。海底に網を仕掛け、翌日それを取りに行くのだが、時化ると回収が何日も後になってしまい、遅くなると出荷できるアンコウが減ってしまう。網にかかって動けないアンコウをタコがかじってしまうからなのだとか。超高級魚・アンコウ。東北食べる通信で紹介できる日は来るのか・・・?モロモロ調整が必要なようでした。

成影沙紀

成影沙紀

京都府宇治市出身。大学時代に東北食べる通信・編集長の高橋に出会い、彼が語る農家漁師の姿に惚れ込み、そのまま購読。1年の東京での武者修行を終え、夢だった東北食べる通信のスタッフになる。新しい生産者に会いに行く特攻隊長。