レポート

漁師10人による大脱出劇 − 真冬の生産者開拓レポート

東北食べる通信で、将来特集する生産者を見つける旅のことを「生産者開拓」と呼んでいます。生産者開拓のために真冬の東北を走り回る日々。今回は超高級魚“アンコウ”の漁師を訪ねて青森県風間浦村まで行って来ました。雪の中縁石に乗り上げてしまったところを、10人の漁師さんたちに助けてもらい、無事脱出。漁師はコワイ、という偏見は吹き飛びます。

成影沙紀文=成影沙紀写真=成影沙紀|2018年02月04日 青森県風間浦村

縁石と偏見を超えて

風間浦村のアンコウ漁師に会うべく、そしてアンコウ祭りに行くべく車を走らせていると、ぴかーっと晴れた下北半島からの景色が素晴らしくて、写真を撮ろうと風間浦村・蛇浦漁協に駐車。ゴットン!嫌な衝撃が。雪が深くて気づかなかったが、縁石を勢いよく乗り越えてしまった。5分ほど色々頑張ってみたがどうもできようがなく、漁協の建物に助けを求めて入った。

「すいません・・・」
「はいー?」
「ちょっと、車が、縁石超えちゃって、動かなくって・・・」
「んっ?」

土曜日に出勤していたのは彼一人だったのか、40代くらいの職員さんが出てきてくれた。

「あ〜これはダメだねぇ、JAFF呼ぶかなぁ」

そう言って車の下を覗き込んでいるとどこからともなくワラワラと漁師さんたちが集まってきた。

「ジャッキであげて、この辺のぼっこ(棒)さ挟んだらいける」
「俺、ジャッキ持って来る」

20代のガッチリした漁師が素早く家に帰ってジャッキを持ってきてくれた。
ジャッキで車をあげ、棒を3本組んでバックで抜けようとするが棒が飛んでしまい、やり直して・・・

「何してんだっぺ?」
「ほら、このお姉ちゃん車が縁石越えちゃってよ」

と、どんどん漁師さんが集まってきて最後は10人ぐらいになっていた。

「こんだけ人いればジャッキであげて、俺らで押して、ニュートラでやればいける」

ということになり、最後は漁師さん5人とせーので車を押し上げた。

「じゃあ俺このまま行くから」

最後に車を操作してくれた漁師さんが運転席に乗ったまま冗談を飛ばし、みんなが笑う。
見ず知らずのよそのもののために冷たい雪の上に這いつくばって手伝ってくれた漁師さんたち。
知らないと怖く見えるけれど本当にあったかい人たちです。
ありがとうございました。助かりました。

成影沙紀

成影沙紀

京都府宇治市出身。大学時代に東北食べる通信・編集長の高橋に出会い、彼が語る農家漁師の姿に惚れ込み、そのまま購読。1年の東京での武者修行を終え、夢だった東北食べる通信のスタッフになる。新しい生産者に会いに行く特攻隊長。